第34話:紅い月〜旅の終わり〜
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紅い。
とても紅い月。
私を見下ろして。
浮かんでいます。
  知りませんでした。
  月が紅い時もあるということ…。
少し前に。
砕けるような衝撃と、
耐えがたい痛みがありました。
でも、今は。何もありません。
   頚骨を始めとした全身骨折。
   致命的な大量失血。
   両肺、心臓を含む主要な内臓器官の散裂。
これが、私の現実。
取り返しのつかない、悲しい現実。

私は死にました。

カラダを追って、冷えてゆく意識…。
ああ、そうか…。
あれは。
月が紅いんじゃない。
私の眼球が。
血で曇っているから。
だから、そう見えるんだ。
…マレリィなら、物知りだから。
すぐに気づいたよね…。
マレリィ。
彼女と離れ離れになる。
その瞬間が、こんなにも早く来てしまうなんて。
ああ、もっと。彼女から教わりたかった。
もっと、話をしたかった。

ずうっと、一緒にいたいと思ったのに。

消えてしまった、クランという名の命。
そして、今。

私の旅が終わりました。



  現場検証

BGM:とまどい
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