第26話:再会
no image

2時間ほど後。
私とマレリィは、丘の中ほどにある大きな街に辿り着いていました。
石造りの建物がところ狭しと並び、大勢の人が行き来しています。
通りに満ちる、笑顔と喧騒。とても活気のある街のようです。
私達は曲がりくねった急な坂道を歩いて、街の奥に進みました。
歩を進めていくうちに、色々な人が話しかけてきました。
「初めまして、可愛らしいお嬢さんがた」
「初めまして、今日はいい陽気だね」
「初めまして、家でお茶でも飲んでいきませんか?」

温かな言葉。心からの親切。
なんて優しく、親しい人達なんだろう。
羊の群れが、はぐれた仲間を見つけた時のように。
旅人である私達を。
この街は容易く受け入れてくれます。
「あの…私達、家に帰る道がわからなくて…」

お茶に誘ってくれた老人に、マレリィがそう言いかけた時。
「ようこそ。初めまして!
背中に触れる、新たな歓迎の言葉。
反射的に振り返って。
息が止まりました。
黒っぽいコートと華奢な手足。
眼鏡の下に。懐かしい眼差し。
藤鼠色と山吹色の。
「カイル」
私が口にした、その名。
陽気な笑顔が私を迎えました。


BGM:水と風の交わる処
Innerstudio


BACK NEXT
目次