第23話:退場

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「私を始末する?」
不協和音の哄笑。ガルガンチュアの。
「誰に対してそれを言っているのだ?
 私はガルガンチュア。
 第零格たるお前を超越し、その先へゆくものだ。
 お前の命と記憶を奪い、全てを終わらせるものだ。
 そしてその時、私は真実の名に相応しい存在となるだろう」
緑色の光が一際強く輝きました。それは、宣戦布告の輝き。
「パンタグリュエル」
ひっそりとした声で。闇の王は従者に語りかけました。
「はい」
応えもまた、とても静かに。
「そこをどけ。
 お前は二人を連れて離脱するのだ」
「できません」
無機質な、パンタグリュエルの声。
「最後までお側にいます」
「命令だ。二人を安全な場所まで連れて行け。
 その後は何処へなりとゆくがいい」
突き放すような、ガルガンチュアの口調。
主従という絶対の壁。
錯覚だったかもしれません。
パンタグリュエルの、表情の無い顔が。
束の間、途方にくれたように見えました。
そして、次の瞬間。
すうっと、ガルガンチュアの姿が遠ざかりました。
『彼女』の姿も。講義所も。みんな、遠くに。
遠のいたのは私。
小さく、遠くなった緑の光。そこから、囁きが聞こえました。
「クラン、そしてマレリィなる第参格の少女よ。
 手違いで呼びつけたことを詫びよう。
 さらばだ。
 …特製オムライスとやら、私も食べてみたかったぞ」
その言葉を最後に。
囁きも。光も。全て消えて。
世界は闇に。


BGM:追跡するもの
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