第15話:終着点
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長い長い時間が過ぎ、退屈が再び私達を捉え始めた頃。
私はその異変に気がつきました。
「ねえ、クラン…この列車、なんだか速くなってない?」
それを先に口にしたのはマレリィでした。
さっきから、確かに。
体にかかる力が。強く、大きく。
「まもなく到着いたします」
無機質な声が、そう告げました。
いつの間にか、すぐ側にパンタグリュエルが立っていました。
「この列車の仕事は、ここで終わりとなります。お二人は私がご案内を」
彼女は硬い表情で一礼しました。
「どこへ?」
私とマレリィの問いが重なって。
『傷痕』へ」
パンタグリュエルはそう答えました。
列車が激しく揺れ始めました。
想像を絶するスピードに耐えかねて。
「天の聖杯堕す時に。
 断末魔の嘆きによって創造された場所。
 全ての光と希望を飲み干すその場所で。
 あの方がお待ちです。
 私の主、ガルガンチュア様が」
歌うような彼女の声。
 加速する。激しい振動。
  窓の外。青白い光。
   吹き飛んでいく。明滅する電球。
    圧迫感。遠くなる。
     パンタグリュエル。広がる闇。
      どこまでも。その先に。
              マレリィの悲鳴。
              「列車を止めてっ…!」
 「今、止まります」
  冷たく、落ち着いた声。
                  「あッ!!」
激しい衝撃。バラバラに砕け、吹き飛ぶ鉄塊。
終わってゆく、一つの命。
「ご苦労様」
そっと囁く、感情のない声。
そして。
到着いたしました




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