第11話:クランとマレリィ

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錆びた煙突。
焼き菓子のような瓦屋根。
小さな窓には植木鉢。
マレリィの家は丘の上にあります。
街からは遠く。
牧場に近い。

暖炉の前。
本棚に幾冊かの本。
壁に煙色のタピストリー。
マレリィはここで色々な話を聞かせてくれました。
「ごはんは美味しいでしょう?
 それは体が必要としてるからなんだよ。
 食べないと、人は動けなくなるの」
知りませんでした。
マレリィは物知りです。
料理を作ること。食べること。それが人を動かすということ。
他にも色んなことを教えてくれました。

時々訪ねて来る人。
私を診てくれたお医者さん。
こわい顔をしていますが、とても親切です。
ひとりで暮らしているマレリィを気にかけています。
今は私が一緒なので安心だと言っていました。

キッチンを掃除するマレリィ。
はたき。箒。雑巾。
それを持つ右手は。巧みに、そして力強く働いています。
あれはもう彼女のもの。
正しい場所を見つけて、輝いています。

「マレリィ特製オムライス」は最高の味だそうです。
今日、作り方を教わりました。
2時間かかってようやくできた…私の、初めての作品。
私はそれをゆっくりと食べました。
ほっぺが溶けそうでした。

ある時、マレリィが言いました。
「なにもかも。あらゆることが、こうなるために物事を進めてきたんだって。
 そんな風に思うことがあるの。
 そして、この毎日がどこまでも続けば。
 それは素晴らしいことだと思わない?」

                 その瞬間。私は彼女と繋がるのを感じました。
                 …感動です。


BGM:故郷
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