第9話:生還

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目を開いて、見えたもの。
薄暗い天井。空っぽの鳥かご。差し込む陽光。白いシーツ。
窓があって。ドアがあって。ここは、私の知らない部屋。
ドアの外からは、誰かの声が。
「…全身の筋肉疲労と神経衰弱。おまけに空腹ときた。
 君が見つけなければ死んでいたぞ。大体あんなところで野宿なんて、どうかしてるとしか…」
「あの…それで、大丈夫なんですか?」
「体力は戻ってきてるし、もう心配はいらないだろう。
 点滴も切れたしなあ…。私にできることはもうないよ」
「…そうですか。先生、ありがとうございました」
去ってゆく足音が一つ。
それから、ドアが静かに開きました。
見たことのある瞳が私を認めて。
「また会えたね」
そう言いました。




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